【親子で無人島泊まりキャンプ 第1回〜第4回】を開催しました!
一般社団法人IKUHART企画は、兵庫県姫路市家島諸島の無人島、鞍掛島で「親子で無人島泊まりキャンプ」の第1回〜第4回を開催。ヨットや食育学習、環境学習などキャンプの体験を通じて、播磨灘の海と環境について考えました。
2025.01.24

一般社団法人IKUHART企画は、播磨灘の海と環境を考え体験する事業として、令和6年7月から8月にかけて4回、兵庫県姫路市家島諸島 無人島 鞍掛島で、「親子で無人島泊まりキャンプ」を開催いたしました。
このイベントは、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環で開催するものです。
親子で無人島泊まりキャンプ
ヨット体験 帆をあげる、操船体験、船員体験見張りなど
無人島体験 海水浴、シュノーケリング、飛び込み、磯遊び、魚釣り、貝採り、タッチプール
食育学習 かまど作り、火起こし、魚介類の食材調理、BBQ、すいか割り
宿泊体験 テント設営、生活拠点トイレなどの設営、花火、虫対策
環境学習 生き物観察、海浜植物観察、ビーチクリーン活動、星空観察、流木、シーグラス集め、アクセサリー作りなど
日程
第1回 令和6年7月13日(土) 森の学校ゆげに所属のご家族
第2回 令和6年7月23日(火)~7月24日(水) 森の学校おのころに所属のご家族
第3回 令和6年8月5日(月)~8月6日(火) 森のようちえんまんまるに所属のご家族
第4回 令和6年8月7日(水) 森の学校ゆげに所属のご家族
開催場所
兵庫県姫路市家島諸島 無人島 鞍掛島
参加人数
87名
協力団体
第1回 7月13日 森の学校ゆげに所属の家族が参加した無人島キャンプ
神戸市の弓削牧場で活動している経営者ご家族とお仲間の皆さまが参加してくれました。7月13日(土)~14日(日)を予定していたのですが、14日(日)のお天気が悪いので危険を回避し安全第一を考え、日帰り2日間の開催に変更にしました。今年は無人島キャンプの日程に合わせて海外から帰国された3家族もいました。多くのメディアにサスティナブルな農業と畜産業を取り上げられている有名な牧場です。いのちの恵みを大切にされている方々ですので、毎年無人島でどのような展開になるのかスタッフも学びがあり楽しみにしています。
富島港を出航して1時間後には播磨灘航路を過ぎて船もほとんどいなくなる海域に出ます。さらに目標となる無人島が目視で確認できるようになります。船長の補助のもと乗船者に対して操船体験が始まります。子どもたちは5分交替で船長帽を被って操船を実施です。ラット(船のハンドル)を操作は簡単ですので、小学生以上だとすぐにひとりでハンドリングができるようになります。船長気分となり保護者もスマホで撮影会となり毎回往路から大喜びです。船首やデッキ上では、他の子どもたちが見張りをしてくれますので、船が目標となる島から針路が外れるとすぐに船長に対して指示がとんでくるので安全運航ができています。 無人島に到着するとすぐに子どもたちは一目散に海水浴、飛び込み、貝採り、魚釣りとそれぞれに無人島を楽しんでいます。大人の皆さんでキャンプ用品を船から無人島の海浜にバケツリレー方式で運び、生活拠点のトイレやシャワー、日除けのタープなどの設置しました。
この日のすごいと感じたことは貝類をたくさん採って食べたり魚釣りに利用したりできたことです。近年、磯焼けの原因となり海底を真っ黒に埋め尽くして害といわれるガンガゼやムラサキウニですが今年は少なく感じます。その影響なのか身の入りが多いのです。例年、耳かきほどの量しか入っていないのですが、小さなスプーンですくえるほど身が入っているのです。大人の皆さんが大喜びで海に潜って数十個のウニを採り食べ続けていたことが印象に残りました。子どもたちは磯場で貝採りをして、貝を石で割って魚釣りのえさにして、ベラなどをたくさん釣っていました。釣った魚は子ども自身が調理して塩焼きで食べました。大人も子どもたちもとてもたくましく無人島で過ごしていることにスタッフ達は今年も驚かされました。

第2回 7月23日~24日 森の学校おのころに所属の家族が参加した無人島泊まりキャンプ
淡路市山田の山中に園舎や広場など造成して、小中学校の子どもたちと活動を続けている森の学校おのころに所属するご家族が参加してくれました。一般的なフリースクールとは違っていて、野外活動を中心に子どもたちを強く逞しく社会のリーダーとして育てるためにカリキュラムをもって運営している団体です。
ここに所属するご家族は幼少期から森のようちえんなどに通って、淡路島や四国で宿泊を伴ったキャンプをたくさん経験しているので、私たちも安心して準備開催となりましたが、無人島泊まりキャンプは別物であったようです。環境インフラがそろったキャンプ場と違い、生活拠点からすべて準備しなければいけないたった1泊の無人島泊まりキャンプでしたが、相当のエネルギーが必要で参加者もスタッフも疲労困憊でした。その分、生きる力とはなにか、無人島泊まりキャンプで必要なことやものなど学びの機会となりました。食料に関しては4食分が必要ですが、魚釣りや貝採りだけでは30名近くのお腹を満たすだけの量を確保することは不可能です。水に関しては無人島で水を確保できるところはないので節水を心がけていましたが、シャワー、飲料、手洗い、洗い物など結局600L以上の利用がありました。船のタンクには1000Lの水があるので、スタッフは20Lのポリタンクで何度も運びました。トイレは防災トイレを設置していますが、こちらも使用後のごみが大変な量となりました。

一番大変だったことは猛暑です。海浜の上に日除けのタープを立てていますが、あまりの暑さに体力をどんどん奪われました。夜もテント内は暑くて何人かの大人と子どもたちがテントの外の海浜の上で寝たようで、こちらで準備した虫除けスプレー使っていましたが、たくさんの虫に刺されたようです。帰りの船上では子どもたちは疲れ果ててぐっすりと寝ていました。帰港後に最後のミーティングをするのですが、参加者の皆さんの多くは、いまの日本社会のインフラがそろっている環境に感謝する言葉やすぐにコンビニに行って身体を冷やしてアイスクリームを食べたいなどの感想でした。保護者のなかにはクタクタになるまで活動する経験が次のたくましさに繋がるのでとても良かったとの感想もありました。社会に不満を言って前を向けない若者が多い現代で、社会に感謝することは無人島泊まりキャンプを開催するねらいでもあったので、スタッフミーティングではある意味成功を感じるとともに、今後開催するキャンプでは猛暑対策を話し合い改善することになりました。
第3回 8月5日~6日 森のようちえんまんまるに所属の家族が参加した無人島泊まりキャンプ
淡路市上河合の山中に学び舎や広場など造成して、未就学児と活動を続けている森のようちえんまんまるに所属するご家族と関係者が参加してくれました。この日に合わせてアメリカから帰国して参加してくれたご家族もありました。日頃から山や川で活動しているので、子どもたちだけで考えて工夫して無人島の活動してくれるので、今年はどのように過ごしてくれるのか楽しみです。
ひとりの女の子はミズクラゲに興味を持って1日目の午後はずっとミズクラゲ集めをしています。子どもたちの中で一番人気は岸壁からの飛び込みです。今回も参加者の半数のこどもが人生初めての飛び込みだったようでできるようになったことで自信がついてそうです。相当嬉しかったようで何十回も飛び込み続ける男の子もいました。子どもたちにつられて大人の皆さんもスタッフの飛び込みに参加しました。ひとりのパパは前方に回転しながら、スタッフは頭からの飛び込みを披露していました。
森のようちえんまんまるの所属のご家族は当法人の魚釣りや無人島のイベントに参加するようになってから釣りブームになっているそうです。竿は流れついた流木等をつかい竿を作ったり、エサは貝を採って石で潰して身を針に指したり、無人島の環境を最大限に利用して魚釣りを楽しんでいました。ベラなどの小魚がたくさん釣れたので、かまどを組んで火起こしをして、魚を竹串に刺して焼いて食べることまでのすべての工程を子どもたちだけでやり遂げていたことには、日頃の活動の成果だと思いますが、とても感心させられました。

第4回 8月7日 森の学校ゆげに所属の家族が参加した無人島キャンプ
今回は弓削牧場のレストランを担当する経営者ご家族や牧場スタッフが参加してくれました。7月13日(土)に無人島で海の食材を楽しんだ話を聞いていますので、無人島に到着すると皆さんは手分けして魚採り網、スクレーパー、軍手、バケツなどを持って、シュノーケリング班はウニ採り、磯場班は亀の手やマツバなどの貝採りでした。また小さな子どもたちは石でかまどを組んで流木を集めて火起こしをしていました。参加者全員が食べることができるだけの食材が集まり、昼食時には新鮮な海の幸を楽しみながら皆さん美味しい美味しいと口々に言われていました。漁協では値がつかず、スーパーに並ぶこともなく価値がない魚介類ですが、実際はアワビやサザエにも負けない味と食感です。そのような海の幸を感じてもらえることは無人島キャンプの醍醐味です。
午後は潮が引いてきたので、参加者の希望で例年岩牡蠣が生息する水深4~5mの深場に生息する海域で貝採りに挑戦しました。遠泳が必要なので大人だけで数名が一組となり浮器も使って移動して、皆さんは岩と岩牡蠣の違いがよくわからないと言いながらも1時間程度がんばりました。慣れているスタッフが少しの岩牡蠣を採りましたが、今年は空の岩牡蠣が多くて、例年との海の環境の変化に驚きました。こちらの無人島には20数年通っており、特にこの数年は海のなかの環境が激変していくことを感じます。10年ほど前から海藻など藻場がなくなり始めてウニだらけになりました。今年は海底の磯場のウニも少なくなり、魚介類の激減して、たこも全く見ることがなくなり、磯焼けが加速しています。また体感からも調査のデータからも海水温の高さ(海水調査では2~3度高いそうです)を感じます。閉鎖性海域である瀬戸内海の環境が良くないと感じるので本当に心配です。

毎回 無人島キャンプ後はビーチクリーン活動を実施
無人島キャンプは2018年から続いています。大切にしていることは海と環境の現状を伝えることです。無人島キャンプで利用する鞍掛島ですが、利用するシーズン初めは漂着した海洋ごみと流木で海浜は覆われていることに参加者の皆さんは驚かれます。今年6月は淡路島を出発して瀬戸内海を抜けて対馬まで往復したのですが、瀬戸内海の無人島の海浜はどこも漂着した海洋ごみで溢れかえっています。玄界灘の宗像大島、壱岐島、対馬の海浜でも多くの海洋ごみを見ました。瀬戸内海の海洋ごみは99%が日本のごみです。スタッフが知る海洋ごみの情報を参加者に伝えて毎回活動後にはビーチクリーン活動を実施しています。
海浜を覆い尽くす流木等はかまどを組んだ火起こしとBBQで毎回かなりの量を利用します。人が出したプラスチックなどの燃える海洋ごみを回収しています。船に積んで持ち帰るので、毎回45L袋で10袋程度ですが、無人島キャンプの回数を重なるほどに海浜がきれいになっていきます。回収して持ち帰った燃える海洋ごみは、後日スタッフが淡路市の焼却場へ車で運んで処理をしています。

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:87人