【実施レポ vol.9】うみごme入門編@千葉県柏市
『うみごme』は、一人ひとりの心のなかに潜む小さなエゴを可視化することで、海ごみを生み出している社会と自分に向き合い、海ごみの「回収」から「抑制」へとつなげることに挑戦しています。今回は千葉県柏市にて自主開催した対話型ごみ拾いプログラム「うみごme」ワークショップの様子をレポートします。これまでは街中でのごみ拾いが中心でしたが、てがぬまパドルクラブさん協力のもと、SUPに乗って手賀沼でのごみ拾い+対話ワークを行いました。
2025.10.22

開催概要
日時: 2025年8月23日(土)10:00〜12:30
場所: 北柏ふるさと公園、北柏町会ふるさと会館
主催: 特定非営利活動法人イシュープラスデザイン
協力: 手賀沼まんだら、てがぬまパドルクラブ、北柏町会
対象者・参加人数: 4歳から大人までの25名
快晴のなか、SUPごみ拾いからスタート
北柏ふるさと公園に集まった参加者の皆さん。小さな子どもから大人まで、ライフジャケットを着ていざSUPごみ拾いへ!
手賀沼に出てみると、水面に浮かぶペットボトルや袋だけでなく、底に沈んでしまったごみも発見。ごみの種類の多さに驚く声も上がっていました。
拾い上げたごみには泥がついていたり、水を含んでいたりしてとても重たく、「見た目よりずっしりする!」「長い間沈んでたのかな」との声も。単なるごみ拾いにとどまらず、ごみがそこにある時間の長さや環境への影響にも想像を広げるきっかけになりました。

上手にパドルを使ってごみを引き寄せて拾います

ボールやバットも落ちていました
また、てがぬまパドルクラブの方からは「手賀沼では外来種のナガエツルノゲイトウが繁茂して、水面を覆って在来の生き物に影響を与えています」とお話があり、参加者は驚きの声をあげながら真剣に聞き入っていました。

辺り一面に生い茂るナガエツルノゲイトウ
ごみが生まれた背景を考えるワークショップ
SUP体験のあとは、ごみが生まれた背景を考えるワーク『うみごme』の時間です。場所を北柏町会ふるさと会館に移動し、ワークをはじめていきます。
ごみを捨てた人をただ責めるのではなく、「どんな状態で落ちていたのか」「どうしてここにあるのか?」を対話によって探っていきます。
・「ごみの捨て方を改めて考えるきっかけになった」
・「買うときから“これがごみになったらどうなるか”を考えたい」
・「無意識のうちに出しているごみに気づいた」
子どもから大人まで、それぞれの生活とごみの関係を“自分ごと”として考える時間になっていました。
さらに、参加者は自分自身がお別れしたいうみごmeを描くワークも行い、日常生活でのごみを出さない工夫や捨て方への気づきを改めて意識する機会となりました。

お別れしたい「うみごme」を描き……

班の中で共有しました
ゲストトーク「手賀沼とうみごme」
手賀沼まんだら 代表・澤田直子さんによるゲストトークは「手賀沼は川?海?大きな水たまり?」という問いかけから始まりました。答えはなんと「川」。群馬から流れる川が手賀沼を通り、利根川を経て太平洋へとつながっているのです。
流れやつながりを知ることで「町で出たごみがやがて海に届く」ということをイメージしやすくなった様子でした。自分たちの生活と海ごみが一本の流れでつながっていることを実感する時間になりました。

手賀沼周辺で生き物観察やSUP、葦舟づくり、田んぼ遊び、竹林整備など、自然を楽しむ活動を展開されている澤田さん。参加者からは「地域の自然を楽しむ方法がこんなにあるなんて」と新たな発見の声もあがりました。
おわりに
今回のうみごme入門編では、ごみ拾いを通して「ごみそのもの」ではなく「ごみが生まれた背景」に目を向ける体験をしました。
拾ったごみの重みや汚れに驚くだけでなく、「なぜここにあるのか」「自分の暮らしとどうつながるのか」を考える時間が、参加者一人ひとりの気づきにつながっていました。
この小さな気づきが日常に持ち帰られ、ごみを出さない工夫や身近な自然を守る視点につながっていくことを願っています。

汗だくの中、さいごまでおつかれさまでした!
うみごmeでは、うみごmeの考え方を通じて海ごみの削減のためのアクションを共におこす『うみごmeフレンズ』を募集しています。
本プロジェクトについてのお問い合わせ・ご相談は、issue+designのWEBサイトよりお願いいたします。
https://issueplusdesign.jp/contact/
<団体概要>
主催 | issue+design
「社会の課題に、市民の創造力を。」を理念に活動するNPO法人イシュープラスデザイン。人口減少、産業の衰退、自然災害、医療・福祉、子育て・教育など日本には、社会的課題が溢れています。デザインには問題の本質を捉え、調和と秩序をもたらす力があると信じ、様々な社会課題解決に取り組んでいます。
https://issueplusdesign.jp/
ゲスト | 手賀沼まんだら
「手賀沼まんだら」は手賀沼流域をフィールドにして、子どもも大人もみんなで一緒に遊ぶ地縁コミュニティ。子どもたちの「遊び」に必要な「仲間」「時間」「空間」。それらを「身体」を通して育んでほしい。感じてほしい。そんな「場」がないのなら、自分たちで作ろうという思いからスタートしている。校外学習「手賀沼スクールヤード」や竹林整備とクラフト体験、アート制作を含む教育連携プログラム提供(2022年〜)、日本財団「海と日本PROJECT」に採択され、河川・沼〜海をつなぐプラスチックごみ問題に向き合うワークショップ(2024〜)を実施中。
https://teganumamandara.com/
助成 | 日本財団 海と日本プロジェクト ~ CHANGE FOR THE BLUE ~
国民一人ひとりが海洋ごみの問題を自分ごと化し、”これ以上、海にごみを出さない”という社会全体の意識を向上させていくことを目標に、日本財団「海と日本プロジェクト」が推進しているプロジェクトです。 海の豊かさを守り、海にごみを出さないという強い意思で日本全体が連帯し、海に関心を持つ人を増やし、海の未来を変える挑戦を実現していきます。
https://uminohi.jp/umigomi/
参加人数:25人