10/17海とたわむれ、自然とつながる――成ヶ島での生き物観察授業
2025年10月17日、洲本市由良にある成ヶ島で、小学3年生を対象にした環境学習の授業が行われました。5月に続き、秋の環境学習では季節の移り変わりによる植生や、干潟の生物の変化を学ぶことを目的としました。講師は、30年以上にわたり環境学習の場づくりを続けている「成ヶ島を美しくする会(成美会)」の山中さん。山中さんは「淡路島ちどり隊」としても活動しており、成ヶ島のちどりの観察にも取り組んでいます。船で成ヶ島へ渡り、午前中いっぱい干潟で生き物を観察するという贅沢な内容。五感をフルに使って海とふれあう体験に、子どもたちも目を輝かせて参加していました。
2025.11.26

概要
・開催概要 成ヶ島での生き物観察授業
・日程 2025年10月17日9時~12時
・開催場所 成ヶ島
・参加人数 11人
・団体 成ヶ島を美しくする会、淡路島ちどり隊
双眼鏡を使って自分で生き物を発見してみよう!
成ヶ島に着いて、一人ひとりに双眼鏡を渡して、使い方を学びました。
5月はみんなで一つのフィールドスコープを覗きましたが、今回は「自分の双眼鏡」で観察します。
まずは双眼鏡の使い方練習から。
双眼鏡の幅を自分の目に合わせて調整し、ピントを調整。
「まず目で見たいものを捉え、それから双眼鏡を目に当てるんだよ」と説明しました。
試しに遠くに見える自分たちの小学校の時計を双眼鏡で覗いてみると、「見えた!」という歓声があがりました。
干潟では陽があたってキラキラ光るものを双眼鏡を使ってよく見ると、大きなハサミを持つハクセンシオマネキが確認できました。

干潟へ向かいながら秋の植物観察
観察場所へ向かう道中、春には見られなかった秋の植生の変化を発見しました。
ハマボウの黄色くて可愛らしいハマボウの花が咲いているのを見つけました。既に咲き終わって実を結んでいるものもありました。また、ハマゴウの実が多数なっていました。昔の人がその良い香りを利用して枕に入れていたんだよ~という話をすると、子どもたちは実の香りを嗅いで「いい匂い!」「すごい匂いだなぁ」「枕に入れるのはちょっとなぁ」などと感想を話してくれました。

干潟と浅瀬の生き物探し
春にも一度、環境学習を行ったため子どもたちは前回よりも生き物に対する知識が深まっており、自分たちで生き物を探し始めました。岩場や石の下を見るとヒライソガニがたくさん生息しています。
砂場を深く掘っていた子どもはテッポウエビを見つけました。パチパチと音が聞こえて「何の音?」と観察してみると、テッポウエビがハサミを鳴らしている音でした。海の浅瀬ではイシガニも発見できました。

干潟で生き物と触れ合ううち、子どもたちは夢中になり、服が濡れるのも気にせず水辺で活動する姿が見られました。知識の習得だけでなく、五感をフルに使って自然を体感するこの経験は、子どもたちの心に深く残る、本質的な環境学習となっています。この成ヶ島という恵まれた環境が「生きた教室」として機能しているのは、「成ヶ島を美しくする会(成美会)」の皆様の、長年にわたる漂着ゴミの清掃や自然観察の場づくりの活動のおかげです。今後も、子どもたちの「知りたい!」という探究心を育む、貴重な学習機会として継続していけたらと思います。
<団体概要>
団体名称:淡路島ちどり隊
URL:https://www.awaji-chidori.com
活動内容:百人一首「淡路島かようチドリの鳴く声に…」でお馴染みのチドリ。浜辺をちょこちょこ歩く姿がなんとも可愛らしい鳥です。しかし、シロチドリはここ50年ほどでその数は3分の1にまで激減。兵庫県において、絶滅の危険性が一番高いレッドデータブックAランクに指定されています。チドリに必要な環境は、島の豊かな海浜そのもの。「淡路島ちどり隊」は、チドリの保全を通して淡路島の自然海浜全体を守ることを目指しています。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/
参加人数:11人