5/23 海とたわむれ、自然とつながる――成ヶ島での生き物観察授業
2025年5月23日、洲本市由良にある成ヶ島で、小学3年生を対象にした環境学習の授業が行われました。講師は、30年以上にわたり環境学習の場づくりを続けている「成ヶ島を美しくする会(成美会)」の山中さん。山中さんは「淡路島ちどり隊」としても活動しており、成ヶ島のちどりの観察にも取り組んでいます。 今回の授業は、船で成ヶ島へ渡り、午前中いっぱい干潟で生き物を観察するという贅沢な内容。五感をフルに使って海とふれあう体験に、子どもたちも目を輝かせて参加していました。
2025.08.13

概要
・開催概要: 成ヶ島での生き物観察授業
・日程: 2025年5月23日9時~12時
・開催場所: 成ヶ島
・参加人数: 11人
・団体: 成ヶ島を美しくする会、淡路島ちどり隊
干潟は生き物たちの宝庫!
上陸後は、まず生き物を観察するときのルールを確認します。
「石の下には生き物がかくれているかもしれないから、観察したあとは元の場所に戻そうね」
「どんなところに生き物がいると思う?自分で見つけてみよう!」
そんな声かけを合図に、子どもたちは自由に干潟へ。思い思いに網を手に取り、石をひっくり返したり、砂の中を探ったりして、生き物たちの姿を追いかけました。
観察できた生き物は、ヒライソガニ、オウギガニ、ミミズハゼ、マツバガイ、スガイ、タテジマイソギンチャクなど多彩。カニのオス・メスの見分け方を教わったり、石に紛れるようにカモフラージュしているヒライソガニに驚いたり、動かずじっとする“死んだふり”のオウギガニを観察したり、いろんな発見がありました。

海藻で実験!色が変わるふしぎ
希少種であるハクセンシオマネキは、近づきすぎて驚かせないよう、フィールドスコープでじっくり観察を行いました。
干潟での観察に加え、身近な海藻を使った“海の実験”も行いました。ワカメ、ヒジキ、アカモク、ホンダワラを、それぞれ沸かしたお湯の中に入れると…
「えっ、色が変わった!」
「これ入れてみたい!」「次は私の番!」と、子どもたちは興味津々。
海藻は、まるで“洋服”のように色素で体をおおっています。その色素が熱で溶け出すと、ふだんは見えない本来の色が鮮やかに現れます。身近な食材を通して、海の不思議を学ぶ機会となりました。

子どもたちからの声
体験後のふりかえりでは、たくさんの感想や質問があがりました。
「海の中の石をひっくり返したらエビがいたのがびっくりした」
「おうちでもワカメの実験をやってみたい」
「成ヶ島にはどんな魚がいるの?」
「アサリ掘りはできますか?」
「どうして最近ウミガメが来なくなったの?」
「海藻の色が変わる理由は?」
「アサリは今、貝毒の影響で食べることができない」「ウミガメもかつては産卵に来ていたが、近年はその姿が見られなくなっている」といった説明から、子どもたちも自然の変化や環境への影響について考えるきっかけを得たようです。
地域の自然が「学びの場」になる
干潟で生き物とふれあっているうちに、子どもたちの緊張もすっかりほどけ、最後には海に足を入れたり、服が濡れるのも気にせず夢中で遊ぶ姿が見られました。自然の中で思いきり体を動かし、いきものの命にふれ、発見し、感じる。そんな“心と体で学ぶ”時間こそが、子どもたちの記憶に長く残る、本質的な環境学習になるのだと思います。
こうした学びが学校で実現できる背景には、長年にわたって地元の自然環境を守り続けてきた人々の努力があります。成ヶ島を拠点に漂着ゴミの回収や自然観察の場づくりに取り組んできた「成ヶ島を美しくする会(成美会)」のみなさん。彼らの活動こそが、この場所を“学びのフィールド”として支えています。
これからも、自然のなかで学ぶ体験を子どもたちへつないでいきたい――そう感じさせられる、豊かな時間となりました。

<団体概要>
団体名称 :淡路島ちどり隊
URL :https://www.awaji-chidori.com
活動内容 :百人一首「淡路島かようチドリの鳴く声に…」でお馴染みのチドリ。浜辺をちょこちょこ歩く姿がなんとも可愛らしい鳥です。しかし、シロチドリはここ50年ほどでその数は3分の1にまで激減。兵庫県において、絶滅の危険性が一番高いレッドデータブックAランクに指定されています。チドリに必要な環境は、島の豊かな海浜そのもの。「淡路島ちどり隊」は、チドリの保全を通して淡路島の自然海浜全体を守ることを目指しています。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/
参加人数:11人