私たち人類は、はるか昔から海を渡り、星や風や波を頼りに新しい大地を目指してきました。近代的なGPSや航海計器が存在しなかった時代、海を越えるために用いられていた技術こそが「伝統航海術（スターナビゲーション）」です。太平洋の島々に生きる人々は、星や潮流、風の匂い、波の揺らぎ、鳥や雲の動きなど自然界のあらゆるサインを読み取り、航海を成し遂げてきました。その知恵は単なる航海の技術ではなく、自然と共に生きる知恵であり、人類の文化遺産ともいえるものです。

しかし20世紀以降、近代的な航海技術の普及により、こうした伝統航海術は急速に失われつつあります。その中で、パラオやミクロネシアなどに残る知識を次世代へと伝えようと尽力している人物がいます。本イベントにお招きするセサリオ船長は、その第一人者です。

今回のトークショーでは、そのセサリオ船長に加え、日本で海や航海に深く関わってきた多彩なゲストが登壇します。「Alingano Maisu」のクルーである林和代さん。海洋ジャーナリストの内田正洋さん。「海渡塾」代表の奥知樹さん。そして、三重大学の坂本教授。これらの登壇者によるクロストークでは、伝統航海術の魅力にとどまらず、現代社会における海との関わり方、持続可能な未来へのヒント、そして「海と人の絆」を深める視点が語られます。

また、本イベントは学びの場であると同時に、音楽と文化を楽しむ場でもあります。セサリオ船長自身が奏でる音楽、そしてKyusyu islanders（Shuji Uchida、Ryuji Kubota）による演奏が会場を彩ります。星による航海術は歌によって伝承されてきました。彼らは歌によって星の名前と方角を覚えてきたのです。

このイベントの根底にあるのは、「海から学び、海とともに生きる」という思いです。三重県は古代より海と深く結びついた地域であり、伊勢湾・熊野灘といった豊かな海があります。かつての人々は海を通じて交流し、文化を育んできました。現代社会においても、気候変動や海洋プラスチック問題など、海をめぐる課題は数多く存在します。そうした時代だからこそ、伝統航海術に込められた「自然を尊重し、共生する知恵」を学び直すことは大きな意味を持ちます。

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三重県多気郡明和町南藤原740　
みいとベース（旧・伊勢湾漁協下御糸支所）
三重県多気郡明和町南藤原７４０

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